タイトルどおり、自営業者が仕事をやめた老後、いかに暮らしてゆくかを、主に年金と税金の面から描いた話です。

 著者はイラストレーターですが、編集者との「個人事業主の老後って、やばくないですか」という会話から始まった企画だそうです。著者はイラストレーターとしてかなり売れっ子だったようで、収入もそれなりに多かったものの、年齢が高くなるにつれて仕事も減ってゆき、不安になります。そこでさまざまな人にインタビューをして、老後の不安を解消しようと行動に出ます。

 衝撃的なのは、著者がこれまで年金を納めてこなかったという事実。個人事業主にはままある話です。年金のスペシャリストの先生に、同窓会へ行くとよく無年金の人がいるが、たいていは個人事業主だと教えられてぞっとし、速攻で納めに行くのですが、十年間は過去にさかのぼって払えることで、無事に年金を受給できることになった模様です。さらには確定申告も遅れていたことまで発覚し、先生に叱られるなど、なかなか笑わせてくれます。

 一方できちんと年金を納めるだけでなく、確定拠出年金(401K)など積み立てて節税もおさおさ怠りなく、豊かな老後をめざして驀進中のコピーライターの方も出てきます。個人事業主といえど、中小企業共済や確定拠出年金など老後に備える積み立て制度があるので、それなりに工夫して準備をしておけば、経済的に豊かな老後を迎えることも不可能ではないようです。

 また現実に六十五歳を迎えた個人事業主(フリーライター)の暮らしぶりも、家計を公開しながら紹介してくれます。腕さえあれば定年も関係なく稼げるのが、個人事業主のいいところです。少ない収入ながらも年金と合わせて、周囲の人々の好意に助けられつつ、幸せに暮らしている姿に、ほっとします。さらには八十歳でもつ焼き屋さんも、家族とお客さんに支えられながらはたらき、暮らしていますが、八十歳でもはたらける幸せを感じさせてくれます。

 最初は不安からはじまった本書ですが、読み終わると、個人事業主でもなんとかなるもんだとの思いがわいてきます。年金や保険に何の知識もない人でも、笑いながらさらさらと読める良書です。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です